認知症はご本人のみならず、ご家族にも身体的、精神的、経済的な負担が大きく、さまざまなサポートが必要となります。しかし、継続的に予防や訓練を行うことで認知症を発症せずにすごせたり、進行を遅らせられる可能性が高まります。もし、ご家族が認知症になってしまったら「一人でがんばりすぎないこと」です。
私自身も7年にわたり、認知症の家族の介護をしておりますが、愛情が深いほど、つらい経験や大変なことも多いものです。現在は、介護施設で専門のスタッフさんに見守っていただきながら、毎日の訓練と規則正しい生活によって、症状の進行を遅らせられています。
入居前にはさまざまな葛藤もありましたが、定期的に訪問するたび「いらっしゃい」と歓迎してくれて、心の通ったお友達を紹介してくれたり、自作のビーズアクセサリーや塗り絵をくれる姿、そしてなによりその満面の笑顔に心から癒されています。
そんな私だからこそ、認知症の方の苦しみや認知症の方のご家族の皆さまと同じ目線で、ご相談に耳を傾けられると思います。ご自身で解決されたいというお気持ちもとてもわかりますが、悩みごとなどを相談するだけでも、気持ちが楽になったり、解決の糸口が見えたりするものです。
総人口に占める高齢者人口(65歳以上)の割合が25%を超え、超高齢社会となった今、介護を行いながら仕事を行っている人口は約290万人、介護が原因で離職された方は年間約10万人に及びます。
介護は身近で誰もが直面する可能性があるものですが、厳しい現実を思い知らされます。
私が7年前に家族の介護に直面したときには、そのような実態を知らず、介護の基礎用語すら分からない状態でした。
大切な家族に介護が必要になったとき、まずはその事実を受け止めることから始まり、その後不安感・焦燥感にかられて、なんとかしようと思えば思うほど空回りしたり、自分の価値観を押し付けて反発されたり、悲しい経験も多くありました。入院ともなると病院から24時間の付き添いの要請があるなど、仕事との両立に疲れ果て、当時は離職の道を選択せざるをえませんでした。
様々な経験をした今だから言えるのは、長く介護を続けるためには、可能な選択肢(訪問介護・通所介護・ショートステイなど介護サービスの利用、介護施設の利用、会社の支援制度の利用など)を理解した上で、有効な選択肢をうまく利用することが重要になります。
介護をしていく上で、できる範囲で頑張ることも大切ですが、生活の基盤を守ることも大切です。
離職して介護に専念すると社会との接点が少なくなり、経済的にも苦しい状況になるケースも多く、ご自身の生活やこころにも余裕がなくなって、結果的に介護の選択肢を減少させることになってしまいます。
介護離職は最終的な選択肢です。そうならないために、地域包括センターや介護知識のある方(ケアマネなど)または同じような境遇の方などに早めにお話されることをお勧めします。つまり、仕事や生活と介護を両立するためには、介護のプロに相談し、介護のプロに任せることも必要だということです。
例えば、介護施設入所も選択肢の1つですが、入所後もできるだけ訪問し、家族との時間を大切にすることで介護を継続しながら、充実した生活をおくることが可能になります。
介護は、ケアする側の心にゆとりがなければ、どんなに頑張ってもうまくいきません。
スマイルシェルパは、1人でも多くの方に笑顔をご提供できるようお手伝いさせていただきます。